Red Hat Enterprise Linux 10(以下 RHEL10)の検証や学習を始めたい方に向けて、Oracle VirtualBoxを使ったインストール方法を解説します。
この記事は単なる手順書ではなく、実際に私がインストールを行った際に遭遇したトラブルや気づきを反映した、オリジナル性の高いインストールガイドです。
- 個人PC + VirtualBoxで検証した実体験ベース
- RHEL10特有の不具合を回避するための工夫
- 最小構成でのインストール成功例と注意点
を盛り込みましたので、一般的な解説記事との差別化ポイントになっています。
事前準備(アカウントとソフトウェア)
Red Hat アカウントとDeveloperアカウント
RHELを利用するには Red Hat公式サイト のアカウント(無料)が必要です。
インストールメディア(ISOファイル)は Red Hat Developer サイトからダウンロードします。
💡 ポイント
- Red HatとRed Hat Developerは同じアカウントで利用可能
- 別々にアカウントを作る必要はない
- 詳しくはこちらの記事を参照
VirtualBoxの準備と注意点
VirtualBoxのバージョンに要注意
RHEL10のインストールでは、VirtualBoxの古いバージョンを使うと起動時にエラーが発生し、セットアップが進めません。

これはRHEL10インストーラ側のバグとVirtualBoxの互換性問題によるものでした。
VirtualBoxを「7.1.12 r169112」以上にアップデートすることで解消されます。
今回利用したのは 7.1.12 r169651 です。

👉 実体験からの教訓:必ずVirtualBoxのバージョンを最新化してから挑戦してください。
インストール手順
1. VMの作成とISO起動
仮想マシンを作成し、ISO(rhel-10.0-x86_64-boot.iso
)をマウントして起動。
※EFIは有効にします。

2. インストーラ起動
「Install Red Hat Enterprise Linux 10.0」を選択。

3. 言語設定
日本語を選択。

4. rootアカウント設定
rootログインを許可し、パスワードを設定。
※パスワードが短すぎたりすると完了を2回押す必要があります。
💡 ポイント:
RHEL10はセキュリティ強化のため、デフォルトでrootログインが無効化されています。検証用途では有効化しておくと便利です。



5. Red Hat 登録
Red Hatアカウントでサーバを登録。
※登録したRed HatアカウントのIDとパスワードを入力します。
※その他のチェックボックスははずします。



6. ソフトウェア選択
「最小限のインストール」を選択。
💡 ポイント:
インストール時には余計なソフトを入れず、必要になったらdnf install
で導入しましょう。


7. ネットワークとホスト名
ホスト名を入力して「適用」。ネットワークはデフォルトのDHCPで自動設定されます。
※ホスト名を入力したら「適用」を押下します。
※ネットワーク設定をしたい場合は「設定」を押下します。





8. ストレージの設定(カスタム構成)
ここがインストールの最重要ポイントです。
MBRとGPT
VirtualBoxの環境設定でEFIを有効化したため、パーティション方式はGPTになります。
- MBR:2TBまで、最大4パーティション
- GPT:2TB超対応、128パーティションまで
👉 RHEL10を最新環境に近い形で検証するならGPT一択です。
標準パーティションを利用
RHELインストーラーではLVMも選べますが、今回は標準パーティションを選択しました。
- シンプルで分かりやすい
- VirtualBox検証環境では十分
- LVMは本番環境向け
自動作成をベースに調整
一度「自動作成」を選ぶと以下の構成が提案されます。
/boot/efi
(600MiB)/boot
(1GiB)/
(残りすべて)swap
(メモリ容量に応じて自動設定)
この構成を参考にしつつ、今回はシンプルに以下としました。
※GPTの場合、「/」以外に「/boot/efi」のマウントポイントが必須となります。
/boot/efi
(600MiB)/
(残りすべて)
swapについて
swapは今回は削除しましたが、運用上は必須です。
- sda上に作成 → この段階で設定しておくのが安全
- sdbなど別ディスクに作成 → インストール後に追加可能
👉 インストーラーはswapを作成しなくても進めますが、警告が表示されます。











9. インストール開始と再起動前の注意
設定を確定するとインストールが始まります。
重要ポイント:再起動前にVirtualBoxの設定からISOを外してください。
これを忘れると、再起動時に再びインストーラが起動してしまいます。



10. システム起動とログイン
再起動後、インストールしたRHEL10が起動。
rootでログインし、df -h
でパーティションを確認。
Filesystem Size Used Avail Use% Mounted on
/dev/sda2 29G 5.0G 22G 20% /
/dev/sda1 600M 4.0M 596M 1% /boot/efi
dnf
も利用できるので、必要なパッケージをインストールして環境構築が可能です。

まとめ(実体験から得られた教訓)
- VirtualBoxは 7.1.12以上 に更新しないとRHEL10がインストールできない
- Red HatとDeveloperのアカウントは共通利用が可能
- EFI有効化でGPT必須 → /boot/efiを600MiB確保
- 最小構成(/boot/efi + /)でもインストール可能
- swapは後からでも設定可能だが、運用上は必須
- 再起動前にISOを外すのを忘れない
おわりに
本記事では、Oracle VirtualBoxにRHEL10をインストールする手順を、実体験からのトラブル回避策や注意点とともに紹介しました。
- 単なる公式手順だけではなく、実際にやってみて「つまずきやすい箇所」や「意外と忘れがちな作業」も盛り込んでいます。
これでRHEL10の学習・検証環境を安全に構築できるはずです。
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